『かもめ食堂』


フィンランドかもめ食堂をオープンしたサチコのもとへ、ゆえもゆかりもなく運だけでたどり着いてしまったミドリとマサコ。中年の日本女性3人と怪訝にみまもるフィンランドの市井の人たちとの素朴で実直な交流とかいろいろ。
やべえ、すんっごくよかった〜。読み終えてすぐもう一回読んで、その後もひっくり返しちゃ好きな部分を拾い読みしております。図書館で借りたんだが、こりゃ本を買うかもな。手元に置いておきたいよ。
こーいう生き方ができたら素敵だなあ、こーいう生き方もあるんだなーと思わせる、中年独身女性のための童話です。フィンランドにいきたいなあ、かもめ食堂で働きたいなあ…。でもフィンランドに行ったからってなにがどうなるもんじゃありません。本文中でもサチコが「どこにいたってきっとおんなじなんだよ」というようなことをぼそっと言っています。つまらない人はどこにいたってつまらない、やる人は何処にいてもやるんだってゆーよーなこと。そうだよね。なにが大事なのか、なにがシアワセなのか、もう一度足元をみてごらんと言われているような気がします。で、とりあえず昨日宝くじを買いました。え、なんでかって? それは読んでくださいな。
本書は映画のための書き下ろしなので、サチコ=小林聡美、ミドリ=片桐はいり、まさこ=もたいまさこ、というアテガキされています。だからものすごーくお話に入りやすい。セリフがぜんぶその役者さんの声できこえてくるし、3人が並んでいるシーンが目に浮かびます。映画をみなくてももしかすると脳内で映画が完成しちゃっているんだ。それでもきっと3人の芸達者さんたちはアタシの脳内補完なんかを軽く凌駕して何か驚きをみせてくれるんじゃないかなーと予感がするのでやっぱり映画もみなくっちゃと思うのです。フィンランドの青い空も目に焼き付けたいし。