『熟年離婚』最終回


ドラマの最終回はおもしろい。途中すっとばしても最終回だけはついみちゃう。見られるだけ見まくって感想などちょこちょこと書くつもりです。
熟年離婚』は全部見た。始まる前は興味うすだったけど、渡さんの重厚な演技と共演者の手堅さ、丁寧なつくりにぐいっとひきこまれていつしか熱心な視聴者になっておりました。
松坂慶子さん、TVの表示モードをワイドにしてたかしら?と勘違いしてしまうほどふっくらして、そこがまた専業主婦の箱入り的雰囲気がでててよかったです。瀟洒なお家、落ち着いたインテリア、収入のよさそうな勤勉な夫、3人のすくすく育った子供たち、なに不自由ない満たされた生活で、唯一満たされなかったのは妻の心。「お父さんはなんでもひとりで勝手に決めてしまって、アタシの気持ちをきいたことなんかないじゃありませんか」「アタシだって感謝されたいんです。報われたいんです」そーいう理由で離婚したくなる気持ちってわかるなあ。って、アタシは結婚すらしてませんが。
でもさ、ぜんぜん働いたことがない深窓の奥様が、いきなり輸入食器を扱うおっしゃれーな評判店に採用されて、すぐにヨーロッパ研修へ抜擢されるだなんて、どー考えてもありえません。離婚後の一人暮らしの住居はフローリングの日当たりのいいマンションの一室で、家具は最初から上等そうなのをフル装備って、給料はいくらなの!? やっぱありえない。いや、独身社長さん(高校の同級生)の下心なしにはありえないってことですよ。異常な特別待遇に当の本人はぜんぜん気付いてなくて、最終回直前になってやっと社長に「アナタが好きなんです」と告白されて、「あら、まあ、アタシ、あなたのお気持ちにはこたえられないかもしれません」などしれっと言い放てるなんざ、なかなかのタマです。ま、そーいう有り得なさがあるからこそ最後まで楽しく見られたのよね。もしも、木造モルタルのアパートで、資源ごみ置き場からひろってきたような折りたたみ机や、ユニットボックスだけの侘しい生活、服はユニクロ、食器はキャンドゥ、仕事は弁当屋のバイト、みたいなのだったらリアルすぎて耐えられん。ドラマには多少の夢があってもいいと思うの。