『魅せられて四月』

1920年代のロンドンで不遇をかこつ主婦ロティは「陽光まばゆいイタリアの古城を1ヶ月貸します」という広告に目を奪われる。近所の主婦ローズを誘い、シェア募集で集った気位の高い老婦人ミセス・フィッシャー、美貌の貴族の令嬢キャロラインを伴い、イタリアへと旅立つ。境遇は違うが孤独という共通点を抱いた四人の女性。古城の魔法が心解き放ち、愛をとりもどさせ友情の絆へと導く静かで夢のようなお話。
なんの波乱もない静かな展開だけど素晴らしい。とくにイタリアの古城を訪れて以降がよいので、そこから3回も見返した。映画を推薦してくれた友人いわく、「20代の頃に映画館へ見に行ったときは寝ちゃったんだけど、あれから10年以上経ってたまたまもう一度みたらすごくよくて心に沁みるの」。そのとおり、年齢を重ねることによって良さがわかるものがある。公開当時映画館へ行っていたらアタシも「こんなの映画じゃねー、金返せ!」とわめいていたかもしれん。この映画のよさがわかるくらいにアタシも年齢を重ねちゃったのね、ふっ。
いいなあと感じるには年齢ともうひとつ、孤独を知る心というファクターも欠かせません。老いと孤独、うーむ。映画を見るのはいっときの夢幻にすぎないけれど、癒されます。人を愛したい気持ちになります。
どなたか一緒にイタリアの古城へ行きません?