『モナリザ・スマイル』

1950年代、ニューイングランドの名門女子大に赴任してきた美術教師キャサリン。良妻賢母をむねとして教育されてきた保守的な校風の中で、反発を生みながらも、生徒たちの中に小さな心の革命を起していく。
1950年代当時の雰囲気がでていて意外とよかったです。
今のアメリカからは想像もつかないけど、50年前は「良妻賢母教育」が当たり前だったんだね。ここ10年ほどの急激な日本のモラルの変化が、本当にアメリカの後追いをしているだけなのだなと、あらためて思いました。電車の中でよりそう高校生カップル(やつら、よりそうだけじゃないし)なんてのを普通にみかけるだなんて、アタシが高校生のときにはあまり考えられなかったもん(え、アタシが疎かっただけっすか?)。ちょっとでも派手な子がいるとすぐに「妊娠したんだってさ」とかいう悪意による伝聞が喧伝される陰湿さよりは、今みたいなおおっぴらなほうがいいとは思いますが。
ジュリア・ロバーツの面相は教師というにはあでやかすぎ、1950年代の人間に混じるとひとりだけ妙に現代浮きしているけれど、型破りな革新美人美術教師という役柄には思いのほかあっていました。彼女は派手な顔立ちでその業績が目立たないけど、こまやかな感情演技も巧いしね。でも同僚教師(女性)があまりにも超50年代ハイミスなので、二人でいるとジュリアが21世紀からタイムスリップしてきた異人みたい(笑)。実はアタシはジュリアよりも、そのハイミス教師にものすごーい親近感を覚えてしまいました。とほほ。
最初は敵対していた生徒が心根を入れ替えるとこなんぞよかったね。逆に味方と思われた教師が・・・だったり。「(モナリザの顔の笑顔ように)表の顔と内面とは同じじゃないのよ」ということですか。
メッセージにもおしつけがましさはなく、彼女の前向き一直線な生き方だけが正解じゃない、というバランス感覚もよいです。50年代の音楽もなつかしかった(そのころまだ生まれてないけど)。
すごーーーく期待されたらこまるけども、良作では? 生徒たちがこのあとどうなったのかな、と考えるのも楽しい。