トロンボーン松永英也

エミール・ガレ展のイメージ曲【flower of fire】を収録したファーストアルバム『Brilliang Days』を発表した、トロンボーンソロ奏者松永英也のコンサートに行ってまいりました。
トロンボーンのソロってそんなのあるのかいな?と思っていたらやっぱり、あんまりないのでトロンボーンのよさをもっと知ってもらいたくて活動しています、と演奏の合間に本人が。奏者が喋るってクラシックコンサートとしてはわりとレアだよね、ソロコンサートだからなのかな、曲と曲の間に全部MCがありました。たとえば、
「次の曲はやはり僕のニューアルバムの中から【My favorite things】を。そうですね、日本語で言うと【私のお気に入り】ってことでしょうか。みなさんのお気に入りはなんですか? 僕のお気に入りは日本酒です。それも辛口。先日も…」
というふうにユーモア混じりに曲紹介などなど。プロフィールも曰く、
「小中学生の頃は小児喘息で体が弱くてほとんど学校に行けない状態だったんですよ。医者から気管支を丈夫にするために楽器か水泳をはじめてみるようにアドバイスされて手に取ったのがこのトロンボーンでした。高校で吹奏楽部に入って東京芸大を卒業してロンドンのロイヤルアカデミーに留学して…(中略)…今年CDデビューしたばかりでコンサートもこれで4回目…かな? 実はものすごーく緊張してましてもう手が汗でべちゃべちゃなんです」
だってさ。おお、初々しい。ビジュアルが氷川君ふうアイドルテイスト、&お姉さん心をそそるちょっと甘えたような話し方。なんか新鮮〜、でもちょっと違和感〜(笑)。
話し方はどうあれやはり演奏はしっかりしておりました、うん。なんてアタシが偉そうにいうのもおこがましいわね。トロンボーンってのはソロでも存在感のあるよい音なのね。
演目にはラヴェルの【ボレロ】とか、あとなんか忘れちゃったけどもポピュラーな曲もありそれらも悪くないけども、意外と(というのは失礼だが)オリジナルソングのがよかったですね。ノスタルジアとか、ガレ展のテーマ曲が。やっぱオリジナルのがトロンボーンの特性を生かした曲にしあがっているということなのでしょう。
さてトロンボーンのよさを認識できたのはGoodだったんですが、残念だったのは予算の関係か生の伴奏者がピアノだけだったこと。ピアノ以外の楽器と協奏する曲にはカラオケをあわせていた、これはかなり×です、興ざめ。協奏曲ならばお互いのそのライブでの呼応が大事でしょう。でももっと大きな問題が。スピーカーから再生されたオケとでは音質が合わず、かなり聞き苦しかった。生のピアノとの演奏が素敵なので「次の曲はピアノと」と聞くとホッ。いっそ全部ピアノ伴奏でできるよう編曲するか、それが無理ならオケなしのトロンボーンOnlyにすべき。せっかくの"ライブ"だもの。
さてもうひとつのマイナス点。アンコール曲がまたしても【はじめから今まで】*1だったのには苦笑を通り越して、うぎゃ、勘弁してくれ〜と。いやさ、いい曲なんだけどもね、もはや食傷です。それにこの曲だと伴奏のピアノのが主役になっちゃいますし、なっておりました。

*1:いわずと知れた『冬のソナタ』の主題