たったひとつのたからもの


10月26日日本テレビ21:00〜23:24
出演:松田聖子船越英一郎戸田恵子小日向文世、松島尚美、森公美子谷啓坂口良子小野寺昭宅間伸草笛光子蟹江敬三
あー、見るんじゃなかったと見始めて10分後には思っておりました。開始早々はやくも額の第三の目あたりがつんつんしはじめるわ、喉元にうっとくる重圧はあるわ、こんな超感動モノにあと2時間も責め続けられた日にゃぁ、ただでさえ歳をとって涙もろくなっているっちゅーに、アタシは泣き疲れて死んでしまふ。泣きはらして明日会社に行けんことなるぐらいはあるかもしれん。ともあれそうした視聴STOPの自主規制の理性を振り切るほどの作品力に引き込まれて最後までもうどっぷりぐっしょり見ちゃいましたが。ラスト近くで小田和正の曲がかかると、「ああ、やめて〜、こんなところでコレを流さないでー、うううっ、ひきょうものぉおう、うっく(泣)」みたいな。
はじまる前は「なんで聖子なの?」と思ったキャストも、これが意外によかったのよね。抑制のきいた演技も○だし、子役に対する愛情も心の底からわいてきているのが伝わってきた。秋雪君の安らかなお顔に松田ママの声の出ない号泣(あれは心から泣いてたよね、さすがリアルママ聖子。子役の子の可愛さに感情移入しまくってたんだろうなぁ)に、アタシの涙腺もぐおおおっと。もう胸の底から痛みのようなものが突き上げてきて、頭痛はするわ、吐き気はするわ。んで、本当にトイレに走って吐いちまいましたから、アタシャ。もっともその前から、風邪っぽくて気分悪かったので、泣いたら吐く女というわけでもないのだが、泣いたことが吐くトリガーになったのには違いあるまい。
船越さんも2時間ドラマの女王に引きずりまわされて温泉街でコミカルな大げさ演技をしているときにはみられない細やかな演技で、父親の葛藤や哀しみを表現していて、ああ、ちゃんとした演技者なんだなあと。脇を固める人たちも大物ぞろいで、しっかりと支えられておりました。
静止画像の写真と小田和正の歌だけの1分ぐらいのCMで涙を誘ってやまない恐るべき感動パワー。それを水増ししてヘタなドラマ化したら、「ほれ泣け、そら泣け、もっと泣け」的な陳腐さで逆にしらけかねない。そこをうまく制御し、さらに共演者の演技を本物にしていったのはあの子役の3人の秋雪ちゃんたちでしたね。とりわけ最後の子がすごい。運動会のがんばれ競争でぺしゃんと転んだシーン。うううぅ。アレって実は台本じゃなくて、アクシデントだったんだってね。撮りなおししようと思ったら、秋雪役の子が立ち上がってそのままゴールまで走ったのでそのまま採用したとか。ううううううっ。ああ、もうダメ。思い出すだけでもぐおおっときます。
アタシが立ち直ったのは来週の火サスの予告のおかげ。感動から一転、いきなりの撲殺シーン、うううむ。男が額から血を流して倒れるわ、業の深そうな表情で語る女たちはでるわ、なんなんすか、この落差はっ!と最初は憤慨したけれども、ホントにあれがなかったら引きずってやばかったっす。