北島、上野・金!泉・銀!中西・銅!

北島の金、2個目はLIVEで見ることが叶った。しかしいまいち興奮せんかったのはなぜだろう。飛び込んで浮かび上がったときからすでにダントツのトップで、そのまま悠々と逃げ切ったからか。いや、逃げ切ったという表現すらあたらないほどの余裕をかましているようですらあった。「体でおぼえる」とはよく言われるところである。昔演劇部だったときの経験だが、たとえば芝居においても充分すぎるほど練習を積んでセリフが完全にはいっていれば、舞台に上がってもたいして緊張しなかった。周りをとりまく全ての雑音が消えて非常に凪いだ気持ちの中、たまにまったく関係のないことを考えていても覚えこんだ体がちゃんと芝居を続けてくれていた。その感覚はまるで幽体離脱。(もっともアタシの場合セリフが入っているのは奇跡で、舞台でセリフ飛ばしてあせりまくりってのが普通でした)。この日の北島もおそらく擬似幽体離脱状態だったのではないかなぁ。もういまさら考えることはなにもない、あとは体が動くだけであったと。ダントツということはつまり目の前に他人の波紋は一切ないということ。まるで大海原を一人で泳いでいるように水がたぷたぷしているだけだ。僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる、の心境かと。200mのタッチを終えて体を起こした瞬間に、急速に耳によみがえる音=歓声。あぁ、そうか、俺は今オリンピックにいたんだ、勝ったんだなあ…と我に返るまで泳いでいるときの彼の意識はオリンピック会場にあらず、だったのではなかろうか。その後のコメントもなんとなくまだ意識がいっちゃったままだったし。100mの金のときの、お前はギャオスか!?みたいな雄たけびもまた聞きたかったけれど「超うれしい!」でつき抜けちゃったんだろうな、きっと。
上野選手。道場主の両親に柔道三姉妹。すごい環境で育ったんだねえ。もはやお前は柔道をするしかあるまい、で、本人もあまり迷いなく(いや多少はあったかもしれんが)練習に励み、力を蓄えて順当に金、そんなふうに見えました。だって圧倒的に強かったもんね。「誰に伝えたいですか?」「まず両親に・・・いままで育ててくれてありがとうと」そして大泣き。なんかよかったっす。俺も親孝行しなくちゃいかんなあと。
泉選手。こちらも親孝行エピソードのお人でしたね。不器用そうで素朴そうな日本男児。10年目のマグロ親父との約束なんてのがクローズアップされて、唐突に日本人の好きな浪花節の主役にされてしまったご本人は、これから4年後の金を目指していく過程で、ずっと「お父さんのためにも」と応援されていくのだろうなぁ。がんばれ。いずれ金メダルマグロ漁師さんになるもよし、後輩の育成に力をそそぐもよし、なんて。あ、すみません。それはちょっと先走りでしたね。
中西選手。すみません、ノーチェックでした。日本の水泳界は男だけじゃないんだぞ!ということがよくわかりました。ぶらぼ。