ドラマ『妻の卒業式』全5回(2)


さて昨日のつづき。
たぶん読んでいる人の中にこのドラマをみていた人がそれほどいるとも思わないし、さして興味もなかろうから、いきなり最終回のネタばれをさせてもらおう。
夫は家具職人(古い家具の修復)としての新たな人生をスタートさせるために飛騨高山で修行を、妻は自宅を改装して友人たちと隠れ家的レストランをオープンするためにご近所の韓国料理店へ働きへ行くことを決めた。両親の離婚に反対してきゃんきゃん喚いていた娘もふたりのいきいきとした姿をみて逆に誇りに思うようになった。娘の結婚式当日に離婚届けを提出することに決めてからの日々、家族3人はかつてよりもいっそう日常的な日常を送るようになる。穏やかな日々のなか、夫は妻の魅力をどんどんと再発見し、いままでのいきさつからなにからをすべて打ち明けた友人(モト冬樹)に「お前さ、なにも離婚することはないんじゃないか。いまから奥さんに謝って、離婚やめちまえよ」と諭され、気持ちはぐらぐら揺らぐのだった。
テレビをみているアタシも友人のその意見にはいたく同感。これだけ夫婦がお互いの意思を理解しあっているのなら、なにも離婚しなくたっていいんじゃないのか? それにさ、離婚してそれぞれが世帯主になってしまうと、税金や保険料の負担も増えるぞ。年金だってどうなるかわからん、特に専業主婦だった奥さんのほうがどういう扱いになるのか。などと下世話な心配をしていたもんで。お金は大事だもんね。
娘が嫁ぐ最後の夜、家族3人の最後の晩餐をむかえる。「こうして3人がそろうのはこれが最後なのね。明日からは3人はバラバラですもの」とさばさばした妻に、「そうだなあ」といいつつも離婚撤回をいつ切り出そうかタイミングをうかがう夫、「じゃあ、アタシはこれで。あとは最後の夫婦の時間を二人で過ごしてね」と席を立つ娘。熱燗を酌み交わしながら、妻に「最初は戸惑ったけれど、これでよかったと思う。ありがとう」みたいなことで切っ先を制され撤回うんぬんはうやむやに、なんとなく「まあ、いいか」ぐらいの雰囲気にぽわぽわと流れていく。気丈な妻と、場当たり的な夫なのである。
アタシもつられて、まあ、いいか紙切れ一枚のことだしという気に。
母のウエディングドレスをまとって嫁いでいく娘を見送り、夫婦はその足で(つまり結婚式に列席した礼服のまま)市役所に書類を提出し、離婚成立。夫はその日のうちに飛騨へと旅立っていく。その夜、ひとりもとの家に残った元妻。結婚式の引き出物(自分へのご褒美のつもりで買ったのかもしれん)のケーキをひとりでほおばりながら、こみ上げてくるさまざまな想いにわんわん泣くのだった。
このシーンがとてもいい。泣きながら甘いものを食べる。女なら誰しも経験があるよね。
あ、いかん、時間だ。
この後話は1年後に飛ぶ。そこまで今夜続きを書くかもしれんし、書かんかもしれん。