東野圭吾著『幻夜』

阪神淡路大震災のどさくさに乗じて叔父を殺害した雅也は、現場に居合わせた見ず知らずの女・新海美冬と出奔する。それが彼の転落のはじまりだった。野心家の美冬にそそのかされて犯罪行為に手を染める雅也はついに…。
うーん、装丁やタイトルに騙されたなぁ。ストーリーテリングはお見事だけれども、ちっとも楽しくない。わくわくしないんだもの。読後の気分がよいか悪いかというのは、主人公の性格を好きになれるかどうかによるところが大きいのだね。雅也が人生の岐路で最悪の選択ばかりをするのには嫌気がさすし、美冬の悪女ぶりにもそれほど魅了させるものがない。悪の華がないのだよ。そりゃ面白くないことはないのだけどさ。