『マイ・ハート マイ・ラブ』

結婚40周年を迎えた老夫婦が、家族と友人を招いて盛大に結婚記念パーティを催して大団円へいたるまで。そこに娘たちの三者三様の恋愛譚が挿入される、アンサンブルドラマ。
(1999年米、監督・脚本:ウィラード・キャロル、出演:ショーン・コネリージーナ・ローランズアンジェリーナ・ジョリーマデリーン・ストウジリアン・アンダーソン、ジョン・スチュワート、ライアン・フィリップ
タイトルは平板だし、誰もが大絶賛するような傑作でなし、日本で劇場公開されたのかどうかも知らないし。豪華なキャストというセールスポイントも、エピソードが多すぎて散漫というかもったいないというか。じゃあ嫌いなのかというと、うんにゃ、好きは好き。なんとなく途中から見てたら、あ、なんか面白いじゃんと、拾い物をした気分になったものです。以来、テレビでやってるのをみつけて時間があえば見て、やっぱ好きだわと確認して、いい気分になれるからまたやってたら見ようと思う、そんなポジション。あそこの大好きなエピソードだけでももう一度とかね。DVDを買えばいいだろうって。いや、そこまでは。
この映画はちと卑怯なの。ヒトの心と心が繋がる幸福な瞬間ばかりを集めてあるのでおいしいトコどりだもん。見ていやな気分になるはずがない。結婚40周年の老夫婦と歳の離れた3人娘を中心に年代の違うさまざまな恋愛風景に夫婦愛。さらに闘病、元夫婦の友情、親子の絆なども盛りこまれてて、定番のマグロやイカが嫌いでも、舟盛りならばホタテ、甘エビ、アジ、タイ、ひらめも乗っている。そんなノリで、不感症の観客でもひとつぐらいは、あ、イイと思うツボがどこかにひとつぐらいはありそうな。ね、卑怯でしょ。そのかわり、どれかひとつをじっくりとっくりというのはムリな相談。イイと思っても、とっとと次に移動しちゃうのよん。
奔放な三女(アンジェリーナ・ジョリー)はクラブ通いで青い髪のシャイな青年(ライアン・フィリップ)を軽いノリでナンパするが、やがて彼の傷つきやすい心と秘密をシェアすることで、大人の真実の愛を覚えることになる。このふたりのエピソードがとてもキュートでイイんだ。ココこそがアタシのツボ。無口なくせに口を開くと核心を衝く、そんな彼にぞっこんな三女があの手この手で迫りまくる。その姿がなんともいじらしいじゃないの。アンジェリーナがあの世界一セクシーな肉厚唇をつきだして、メリハリのある肢体でシナを作ってもなかなか靡かない。なんてつれない男だ。ありえん、女のアタシですら何度見てもグラリとくるのに。実は男には女を安易に受け入れられないワケがあったワケ。で、内心はかなりキテたみたいです。
本音を言うと、脚本が甘く描き方は綺麗すぎるので人間ドラマとしてはもしかすると出来損ないかも。そのかわり人間賛歌だと思えば○。テレビでやってて時間も空いているとき、興がのったらA.ジョリーの豊満な胸とS.コネリーのおねだり犬スキップ(「君と寝たいよ」と老妻に言って寝室へスキップするシーンがかわゆい)だけでもみてみるか、ぐらいの感覚でいかがでしょうか。