韓流とアタシ(1)


近すぎると互いのアラが目につきやすくなるし、こと韓国に対しては後ろめたい過去がある。いじめの加害者がその過去をできれば葬り去りたい、なかったことにしたいと思うように、日本にとって韓国というのはごくごく最近までは煙たい国、できればあまり触れないでおきたい国、さらに無意識の片隅にはこんな感覚が潜んでいたりしたかもね。「日本の隣国はアメリカ?中国?」ってな。ところがワールドカップ以降、こうした忌避衝動に変化が生じた。若い層からじわじわと芽生え始めた親韓感情がやがてノンポリ層を侵食、「キムチ美味いし〜、近いし〜、いいじゃーん」みたいな。で、そういう土壌あってこそ『冬のソナタ』でいっきに火がついたのが、韓国ドラマブーム、「ヨン様〜(はあと)」というわけである(たぶん)。
アタシもごたぶんにもれず韓流*1の波に乗っかっている。『冬のソナタ』ならNHK‐BSではじめて放映されたときにチェック済みだし(わりと自慢)、昨年末に一挙放送した際には全20話をビデオにも収めた。とはいえ、巷で言われるほどには『冬ソナ』のピュアラブやヨン笑顔にはまりきれなかった。関西空港ヨン様を出迎える妙齢の女性の群れぐらいは「す、スゴイな…」といくぶん引きぎみながらもほほえましく受容するが、ニュースでキャスター(とりわけ女が)までもが一介の俳優ぺ・ヨンジュンを平然とヨン様呼ばわりしているのには、おめーら、アホかと耳を疑う。その程度の緩くて節度あるはまり方。
ではなぜ『冬ソナ』をビデオに撮ったのか? 実は1年ほど前から韓国語を勉強しておるのだ。ヒアリングのためにテレビなどで無理せず視聴できる範囲のものを極力チェックする、これがアタシの韓流への入り口だった。ま、向学心だけで韓国ドラマを見続けられるわけでもないし、いまやそんな動機はどこへやらだが。

なんにせよ韓ドラ、けっこう観た。半年ほどで制覇した韓ドラは…

  • 冬のソナタ』 出演:チェ・ジウペ・ヨンジュン。亡き初恋の相手にそっくりの男と再会した女性が婚約者と男の間で翻弄される。ぺ+眼鏡+笑顔+マフラー=ヨン様。ぺ−眼鏡−笑顔−マフラー=? 映画『スキャンダル』で真価が問われる。『愛してくれといってくれ』のトヨエツが映画『八墓村』で真価が問われてしまったように…。 全20話
  • 『ロマンス』 出演:キム・ジェウォンキム・ハヌル儒教の国ではご法度の男子高校生と女性教師の恋をコメディタッチで描く。教師と生徒が二人で動物園デートしただけで新聞社を巻き込んだ大スキャンダルになる韓国ってきびしー。キム・ジェウォンの笑顔にきゅーん。全16話
  • イブのすべて』 出演:チャン・ドンゴン、チェ・リム、キム・ソヨンハン・ジェソク。宿命のライバルの二人が放送業界でアナウンサーとして火花を散らす。ヒロインになんど振られてもめげない御曹司ドンゴン様、性悪女にとことん尽くす哀れなジェソク君、男はどっちも健気だ〜。女は、えっと仕事に生きるのかなと思ってたのに、ま、いいか中間味が悪くても後味はよかったから。全20話
  • ホテリアー』 出演:ペ・ヨンジュン、ソン・ユンア、キム・スンウ、ソン・ヘギョ。ソウルホテルを舞台に、買収をもくろむ企業ハンターと抵抗するホテル支配人の男の対立、四角関係のトッピングつきの企業ドラマ。企業ハンターの眼鏡ヨン様、悪役モードは尻つぼみ、いつしかラブハンターに!? 当初は親父くさいなと思っていた支配人(キム・スンウ)がだんだんええ男にみえてくる。ソン・ユンアの足、きっれ〜〜。

現在視聴中…

  • 『サラン〜Love〜』 出演:チャン・ドンゴン、キム・ミスク、チェ・ジウ。年上の女性との禁断の恋愛、奔放な女性との恋愛、ラブストーリー二本立て。年上の女性を想い続ける一途なハンサム君チャン・ドンゴンにはアタシもうっとり〜。アタシも歳下男にこんな風に想われた〜い。でも被愛者キム・ミスクは上品で綺麗な大人の女性だもん、所詮アタシとは土台が違うわな。全16話
  • 『真実』 出演:チェ・ジウ、パク・ソニョン、リュ・シウォン。社長の娘に利用され虐げられ続ける運転手の娘の愛憎劇。ジウのいぢめてモードがとってもシマリス。 全16話

ネット配信で…

  • 『愛の群像』 出演:ペ・ヨンジュンユン・ソナキム・ヘス。全44話。観たのは2話まで、3話以降は有料なのでやめといた。ネット配信ではたいてい1〜2話がただで視聴できるみたいなので興味があればどうぞ。

途中まで観て挫折したのが…

  • 美しき日々』 出演:イ・ビョンホンチェ・ジウ、リュ・シウォン。音楽業界を舞台に、心に傷を負った若者たちのさまざまな愛のかたちを描いたラブ・ストーリー冬のソナタの後にNHK-BSではじまったんだけども、ジウの妹役の子がサイレンのような声でわめいたり歌ったり(歌手志望)するのが煩すぎて挫折。
  • 『オールイン』 出演:イ・ビョンホン、ソン・ヘギョ。異なる境遇で育った二人の男が一人の女を巡り対立する。実在した伝説のギャンブラーの話。アタシはたぶんイ・ビョンホンがあんまり好みじゃないのだね。映画『JSA』を観たら気が変わるかもしれないけど。

ね、こうして挙げてみると結構こなしているでしょ。がんばった成果が韓国語上達に繋がっているかというとじぇんじぇん……ヒアリングっつっても字幕を追っちゃうしねぇ。ストーリー展開が一時期流行ったジェットコースタードラマに通じるので、それで話を追うほうがメインになっちゃうのだよ(と責任転嫁)。

*1:アジア全域を席巻する韓国ブームをさす