『ストランデッド』

人類初の有人火星地表探査船が、計器トラブルを起こし火星の地表に不時着する。着陸時死亡1名、生存5名、エンジン大破、自力帰還不可能。地球からの救助が来るまで3年、生命ライン(水、酸素、電力、食糧)は計算上2名分しか搭載されていなかった。過酷な現実を受け入れた彼らはサバイバルのためにある決断を…。*1
ストランデッド=回収不能
ハリウッド的な派手なアクション&CGなし、火星の情景なんてぜんぶ赤いフィルターかけただけじゃーん、でもそれほどちゃちな感じはしない。心理劇としてよく描きこまれている。監督は副船長役で出演もしている金髪の美女。才色兼備だねぇ。
スペイン映画でも台詞はすべて英語。多国籍編成のスペースパイロットの共通語という設定らしい。ヴィンセント・ギャロ知名度を当て込んで世界市場を意識したってこともあるんじゃなかろうか。
非ハリウッド的SF+閉塞感+サバイバル心理劇の共通点から『CUBE』をふと思い出した。本作はあれほど悪趣味にあらず、後味もよい。きゃんきゃん喚くだけのヒス女や、横暴なオレだけ男がでてこないとこも救われる。そりゃ状況が状況なのでたまに感情的になるときもあるが、火星まで行くほどのスペースエリートは己を抑えるすべを知っている。渓谷を探索しに出たメンバーがE.H.バローズ『火星のプリンセス』の話をしながら一方通行の歩みを進めていくところなど往年のSFファンには、じ〜んとくる。
予期せぬ拾いもんでした。しかしなぜ死体を食糧にしないのだろう?

*1:2001年スペイン、監督:ルナ、出演:ヴィンセント・ギャロ、マリア・デ・メディオス、ヨアキム・デ・アルメイダ、マリア・リドン他、本編:95分