後味のわるい映画たち


昨日のブラピの『セブン』もそうだけど、ケーブルチャンネルのMovie+で今月放映中の『クローン』と『ノイズ』も後味悪い映画だったわね。両方とも映画館でみたはずなんだけども、結末を忘れていたのでせっかくなので観てみた。観ているうちにどんどん記憶が、それもいやーな記憶がよみがえってきました。

二つの映画はタイトルから想像できる通りにどちらもSF。

『クローン』はゲイリー・シニーズ主演、星間戦争で味方の一員がいつのまにか敵のクローン爆弾に入れ替わっているという破壊工作が相次ぐ中、ゲイリー演じる科学者が「お前も敵のクローンだろ!」と疑いをかけられ処刑されかける。「オレは違うんだ〜」と小さい身体で必死で抵抗し、汗だらだらで逃げ回るんだけども…ってなゲーリーの熱演がちと暑苦しい映画。あらすじってたいてい最後に「だけども」ってつけるでしょ。当たり前だども、この「だけども」ってトコが味噌って言うか、なんつーか、いやらしいとこよね。「だけども」ってきいた時点で「んじゃ、反転させて、こーなるんかな」って予測がつくじゃん。そういう観客の予測をさらに裏切るためにはどういう結末をもってくるかっていう、いろいろあるパターンの中から監督が自分好みのを持ってくるわけだ。あちゃ、それできたか、くそ、悪趣味のきわみ…。

かたやジョニー・デップ主演の『ノイズ』は、スペースシャトルの搭乗員3名が衛星軌道で数分間だけ交信を絶つ。無事生還した彼らにはどこ違和感があり、さらにその妻達が全員ほぼ同時に双子をみごもる。果たして彼は元の夫なのか、お腹の子供は人間なのか!?というホラーがかったSF。これ、かなり怖いよ。『ローズマリーの赤ちゃん』と同じくらい怖い。ジョニーのマネキンみたいに整った顔だとまばたきなしの視線ってのが冷たすぎて、ふるふるです。んでこういうののラストって、よかったねーで終わるようにみせといて最後になんどもどんでんがえしってのが、これもね。え、そうなるの? ちょっとまってよ、そんなんじゃ今までの妻の奮戦は徒労になるやん、あほらし・・・。

シガニー・ウィーバー主演の『エイリアン』も一歩間違えば「くそ、最悪・・・」になりそうだったんだよね。ラストに抱き上げた猫ちゃんがエイリアンに汚染されているか、いないかの2バージョンのラストを用意していて、汚染バージョンが試写の時点であまりにも後味悪くて評判悪かったので今の救いがあるパターンに落ち着いたとか。監督の趣味だけで決めさせたなら、きっと猫の腹からエイリアンだったような気がするよ。

ファイナル・デスティネーション』もラストは2パターン用意していたそうで、2パターン目がDVDの付録として収録されていたのでみたけれど、これも最終的に劇場公開されたほうがよいわね。2パターン目だと「うわ、うげ、えーーっ」ではぁはぁ言ったまま放置されちゃうんだもん。あれ、ここまで書いててもしかしたら公開されたラストは「うげ」のほうだったかもと…んん? まあ、いずれにせよこの映画はおもしろいからお薦め。

未見だけれど2000年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作ビョーク主演の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』ってのも、きわめつけ後味悪いそうで。観た人にリサーチしたとこ、わりと例外なく、アレは暗い、観たら落ち込む、救いなしだと教えてくれたから、今後も絶対観ることはないだろうけど。いまさらだけどカンヌ映画祭の受賞作ってのは暗いのが多い。

後味悪映画BEST10とか考え出したら面白そうだけども、とまらんかもな。