本日のよろこびごと。(849)


エロゲーは マッドマックスな ジュブナイル(喜)
連ドラ初回の感想〜♪

  • 『S-最期の警官-』

面白かった。ほぼ飽きることなくラストまで引き込まれた。
向井理が悪くない。ってか、だいぶいい。役作りの努力をしたのが伝わってきて好感が持てたし、彼という素材がはじめて役者として正しく生かされている気がした。
ライバルとなる綾野剛との性格上の明暗や、主義の違いは単純明快でわかりやすい。SATとSITと第3のSなど組織の煩雑さやシガラミもあり、これから話を練り上げていく要素はいくらでもある。「こいつ、俺とあわねーな」光線を出しあった向井と綾野が来週は早くもバディを組まされるようで絶対に楽しそう。
ただ、ヤクザというよりも愚連隊みたいな連中がやたら銃器で発砲しまくったり、手りゅう弾まで持ち出す展開にはかなり引いた。「ここは日本なの? どこのマッドマックスなの?」という違和感も漫画原作だと知って納得。
実のところドラマとしては、何がってほどどこかが格別優れているとは思わない。さほど好きな世界観でもない。バイオレンス過多だし、細かいところが雑だし、細かくないところもだいぶ雑だし、ありえない展開も多い。でもドラマは単純に見ていて面白いと自分が感じればそれでいいんだということを思い出させてくれた。
見終えて気づいたのは、主役が向井理で良かったということ。彼の爽やかさと鈍感さが血なまぐささを緩和してくれたおかげで最後まで目をそむけずに見ることができたと思う。最終回まで完走したら彼のファンになってしまうかもしれん。

(原作未読ゆえドラマのみの感想)
バカバカしくて意外と面白かった。
ちょっと頭と貞操観念のゆるい無邪気な小悪魔に、官能的くちびるを武器とする石原さとみがとんでもなくハマってたと思う。彼女になら松潤ならずとも、その唇からもっともっと酷い言葉を注がれたい、悪意のない邪気に翻弄されたいという気持ちにならんこともないと普通に洗脳されかけた。
松潤はなぁ…「高校時代、俺程度のルックスでは相手にされるわけもなく」という回想シーンに違和感があり、当初はミスキャストかと。彼以上のルックスの男はそんじゃそこらにおるまいし、綺麗なもの好きなJKが彼を振って他の男を選ぶわけがなかろう。だが、原作漫画の作画でもこの役は美形に描かれているようで、ふーんそうか。まあ確かに1人の女への長期にわたる異常執着を普通レベルの男子がやったらただのキモいストーカーだ、やらかしだ。綺麗な男がやるから許されることってあるよね。だから彼も石原さとみに負けず、たぶんハマってるのだろう。
そんな二人がしつこいほどの妄想シーンを演じているのが、おそらくこのドラマの売り。美形男子が結婚間近の元カノと一軒家で二人きり、ベッドに押し倒す男とされる女、
「いやっ、やめ…だめ、私もうすぐ結婚するのぉ」「だったらこんな短いスカートでくるな、攻略してくださいっていってるようなもんだ」「私、攻略されちゃうのぉお…?」
ああ、やべえ。ハスキーな声で甘く抵抗されるとか、松潤に激しく優しく愛し尽くされるとか、なんかエロゲーみたいやね。いや、エロゲーをやったことないのでホントのところは知らんけど、たぶんこんなんでしょ。紳士淑女の閨妄想を最高の素材で具現化する月9ドラマです。って、いやおかしいわ、それはテレビ東京の深夜枠のテリトリーでは?
スイーツをモザイクにした隠喩も、上品におためごかしているぶん逆に下品に感じ、役者がハマっていたほどには自分はドラマにあまりハマれず。

見事な抒情的ジュブナイル。原作:眉村卓、脚本:岩井俊二、監督:長澤雅彦だが、完全なる岩井俊二作品のなぞり。学生街の喫茶店を数十年ぶりに訪ねたらまったく変わらぬ空気と時間がそこにあった、そんな懐かしさを感じた。
中村蒼の無垢な空気感と、地に足の着いた吉高由里子のような桜井美南の並びは好ましい。初回ではラストワンショットにしか登場しなかった転校生役に本郷奏多を持ってきたのもいいところをつくなぁと。剽軽な三角定規坊主のような同級生も、ミッキー・カーチスも映画的でいい。ただ話の進みは遅い。
テレビ東京金曜深夜に、思いがけない清涼剤で胸を洗われるのは素晴らしいことだ。とはいえ、この時間に清涼剤を求めるかどうかはわからない。