本日のよろこびごと。(806)


ピュアな人 隣にいたら ちょいへこむ(喜)
秋とはいえ食べ物の話ばかり続きすぎたので今日は芸術の秋にちなんで映画の感想〜♪

  • 『劇場版 ATARU‐THE FIRST LOVE & THE LAST KILL‐』

ATARU(中居正広)はピュアでかわいく、マドカ(堀北真希)は可憐で病的で恐く儚く、ラストシーンは切ないほどに美しくて心が震えた。
でも面白かったかというと…うーん、まあまあかな。
伏線回収とか驚天動地のトリックとか意外な犯人とかそーいうミステリに求められる要素はないし、ギャクは寒いし*1、小ネタもしつこい。しかしそれこそがドラマ版「ATARU」の世界観そのものだったもんなぁと気づけば、あとはもう楽しめます。おなじみのキャラたちと再会する欲求に関しては存分に満たされる*2。つまりATARUマニア向けの映画ってこと。
ただそれでもやはり、わざわざ劇場まで足を運んだのだったら少しは「やられた、だまされた」感がほしかった。予告で読めたとおりの展開はねぇ…ラストや見どころを盛り込みすぎなんだもん。それはこの映画に限ったことじゃないけれど。
最初に書いたように、ラストシーンは相当イイっ。
ATARUの純粋さ、マドカの切なさややりきれなさが胸に沁み、ジーン…。ああ、これはミステリがどうこうとかいうべき作品じゃない、純粋な魂の奇蹟に触れて浄化される話だったんだ、やっぱ見に来てよかった、と素直に思わされて。
カサブランカを何度もマドカに渡そうとするのはプロポーズだったのかな、彼が家族のひとりのようにマドカを想ってた気持ちが届いてたんだといいね。
マドカの悪意はいつ芽生えたものなんだろう。生来、悪意に傾倒しがちな性質だったのは間違いなかろうが、ATARUと出会って、純粋な魂に触れ慕うようになり、同時に己との違いを自覚したことだろう。だとしても、もしもATARUと引き離されなければ、っつーか、ATARUへ一直線に向けられたラリー(村上弘明)の愛情・執着・熟慮の1/10でもマドカにも分け与えられていれば悲劇は避けられたんじゃねーの? ってことは悪意の根源は、
「おめーだ、ラリー井上!!(怒)」
などと物語の余韻に浸っていたかったのになー、エンディング*3が致命的に合ってない。もう少しなんとかならんかったのか。

*1:田中哲司の「なのね」、ラリーにあーん、沢主任のハゲ弄りは面白かったけど

*2:光宗薫が元気そうだったので嬉しかったです

*3:主題歌は椎名林檎自由へ道連れ」。後日ラジオでオンエアされたのを耳にしたらいい曲だった。歌詞もイイ。ただあそこで聴きたい曲ではなかった