本日のよろこびごと。(599)


駄作でも 一つや二つ 収穫はある(喜)
途中からかなり入れ込んでしまったドラマが打ち切り最終回?
ま、当然だろうな、の感想〜♪

てか、最終回ひどっ。
ムツミ(稲盛いずみ)がいきなり恋の虜になってるし、同僚おばさま(宮地雅子)はいきなりキレるし、大小さまざまイキナリ展開が多すぎて、短縮された2話分を視聴者が脳内で補完しながら見ることが前提でした。
ミネタ(佐藤隆太)とムツミの不倫もそう。
夫と子供のいるムツミは、家族からの疎外感でどうしようもなくなった寂しさを、慕ってくれる後輩ミネタで埋めようとした。つまりなりゆき。もしかしたら誰でもよかったのかも。先週までのドラマでは、ムツミの心理はそこまでの描写しかされていなかった。ゆえに冷静沈着なムツミが最終回でいきなり恋に溺れたアホ女的言動をさらしまくっている豹変ぶりに、
「え、なんでそこまで? いきなりどした?」
と、ポカーン。
職場に不倫が知れ渡る。それに対する同僚らの反応にも違和感が。
不倫が発覚したとしても、ランチタイムの話題にはせんだろうし、暖かく見守るか、冷めた目で知らんふりするのが常道と思う。同僚おばさまが椅子を蹴っ飛ばし「アタシは絶対許しません!」などとプライバシーへの踏込みまくるのは異常だし過剰。この過剰反応については、
1.過去に自分も不倫されてイヤな思いをした
2.密かにムツミのことが好きだった(レズ的に)
3.密かにミネタが好きだった
4.ドラマだから
のどれかだったのだろなぁとなんとか脳内補完できたけど。
不倫発覚後の職場はいたたまれんよね、ムツミもミネタも可哀そうだな…と同情に傾斜しかけた気持ちに水を差す急展開、
「私たち別れました。ふられましたので!」
ムツミのあっけらかんとした宣言にもポカーン、
「え、僕ふってません」
「いいえ、ふられました〜」
「ええっ、そうなの」「なーんだぁ」
と、笑いさざめく同僚たち(おばさまも)。えっ、なんなのこの人ら? 超おおらかかっ!?
描きこぼれたシーンを脳内補完してみたが、それでもわからん人たちばかり。
唯一隅々まで心情を理解できたのは、ミネタに恋情を抱きながらも暖かく見守り続けていた愛の待ち人ユウ(綾野剛)。彼は切なかったなぁ、最初から最後まで。
「最後に僕にも思い出をちょうだい」
「抱きしめて」
報われなさを受け入れる潔さ。そして、
「ミネタ、泣いてる?」
「泣いてねぇよ…お前こそ泣いてる?」
「泣いてないよ、ふふっ」
相手の負担を軽減しようとして笑って別れてあげる優しさ。ああ、なんていい男なのっ。ミネタにこだわらなければいくらでも相手がいたろうに。
アポなしで押しかけてきた恋敵ムツミをアパートへ招じ入れ、ミネタと二人きりにしてあげるのも度量の広さ。漢だ。
ムツミはずうずうしかった。ミネタが居候にすぎないと知ってたよね。ここはユウの家なの。ユウにとっては、ミネタとのかりそめの愛の巣みたいなものなの。そこへヅカヅカとみなさん土足で踏み込んできては感情をぶつけていく(自傷癖看護師(北乃きい)もそうだった)。この世のデリカシーはどこへ行った。そもそもそういう流れを許容したのは、ぜんぶミネタの甘えが原因だけど。
救いようがない男だよ、ミネタは。最初から最後まで。
優しい口調で、俺が悪い、誰も傷つけたくないと言いながら、結局みんなに少しずつ血を流させて一番傷つかずにすんでいるのは自分。
「今じゃなきゃ嫌なの。家を捨てて一緒に暮らしたい。好きなの」
と真っ向から気持ちをぶつけてきたムツミへ、
「今はダメです。17年待ちます!」
はあっ!? なんだそれ!?
彼女が精神的に追い詰められて体を壊しかけるほどイヤな家庭へ帰れと、17年間虜囚となれと? そりゃあ離婚について様々な考え方があるのはわかる。でも両親が不仲な家庭で子供がまっすぐに育つのかも疑問だ。
たぶんこのバカ男は本気で17年待つつもりなのだ。待てばいいと思っている。それは本当に彼女を愛しているからではなく、17年待つ自分が善であるという無自覚な思い込みから。
一方、女のほうはこの言葉を受け止めかねている。テイのいい別れの言葉かしら、いいえ、もしかしたら…と、ほんの少しの希望にすがりついて、でも…。一見吹っ切れた風のムツミ。それが虚勢だとしたら。
ミネタは己の一言がどれほど今後のムツミの人生を縛ることになるのかわかっているのか。いや、絶対にわかっていない、「一番つらいのは自分」ぐらいの感覚だろうね。超勘違いの偽善男め。
このドラマの視聴率が不振だったのは、整形やホモなどのテーマが避けられたからじゃない。役者が悪いわけでも。ひとえに、ミネタというキャラクタに説得力と魅力がなかったせいだと思う。
1人暮らしができるもんなら最初からしやがれ! ユウに甘えるんじゃねぇよ! 同調も同情もできず最後までいいところなしのクズ男めっ。
アタシは、ユウがミネタという不良債権をきっぱりと断ち切って新たな出会いへ出発してくれることを願いつつ最終回を見守っていた。ひたすらユウの幸せを願って。ユウに新しい男性との出会いをほのめかしてくれればもうそれだけで、と期待して。なのにラストでは、せっかく離れてくれたミネタへユウから電話をして、
「ご飯ちゃんと食べてる? こんど作りにいってあげようか」
とすり寄るなんて!? ちっ、なんだよ、共依存かよ。もう早くSEXしちまえっ! あー、イライラしたー。
ありゃ、長々と書いてしまったわ。簡潔にまとめると、綾野剛という役者の魅力を発見できただけのドラマ。