本日のよろこびごと。(526)

『最高の人生をあなたと』


映画では しんみりするより 笑いたい(喜)
ひさびさに映画の感想〜♪
試写会で見て2週間ぐらい経っちゃったけど、備忘録として書く。

結婚30年まもなく還暦を迎える夫婦が老いる肉体と老いない意識のギャップに戸惑い迷走し躓きながらも円熟した愛にたどりつく、時に生々しくそしてなんとなく身につまされる夫婦愛もの(か?)
映画の中での妻と夫は、老いを迎える姿勢が真逆という設定。
妻は老いを積極的に受け入れようと、部屋の改装(バリアフリー化)に孤軍奮闘しはじめる。文字盤の大きな時計、音の大きな電話、浴槽につけられた手すり、老眼鏡。
こうした家庭の変化に美意識が高く老いを認めたくない建築家の夫は苛立ちを募らせてゆく。家でイライラ、さらに勤務先の設計事務所で割り当てられた仕事は老人ホームの設計で、くそー、そんなものやってられるか! 俺はまだまだ若いものには負けない、いや若いんだ!と気炎を上げ、衰えていない自分を証明するために建築士の卵らを集め、彼らの若いエネルギーの中心に居座り博物館建設のコンペティションに挑戦する。ほら見ろ、俺はまだまだ若いやつらと同化できるんだと鼻息ふーふー。さらに若い女と…。
かくして吹き始めた夫婦間の隙間風に妻が気づかぬわけがない。夫の心が自分から離れたことを察した妻は妻で、アタシだってまだまだよとばかりにフィットネスジムのコーチと一夜の…。
さてと困った。老いを意識するあたりまではそこそこ共感できたが、中盤過ぎてからの展開は、己の旧来型日本人感覚からはずれた遠い異国的な飛んだ物語でとても共感できるもんじゃない。ところどころにある共感ポイントを、共感できないポイントがことごとく打ち消す。もちろんアタシの感覚が古いのだよね。どーにもこーにも彼らの感覚がわからずじまい。なにがなにやらわからぬままに「生涯の伴侶」って何?みたいな命題に対し、結局分かり合えるのは30年の長き時を共に過ごした相手だし歳を取るのだってケセラセラだよ受容してくしかないじゃん、みたいな結論に。うーん、ま、そりゃそうだろうけど…なんだかなぁ。
イザベラ・ロッセリーニは老いてもやはり美貌の片りんが残り、ときおり見せるはにかみや拗ねた表情がまるで少女のようで愛らしい。ところが全身に目を映すと妙に逞しく歩けばもたもた鈍重で、ああ、これこそが肉体と意識のギャップなのだな。そういう意地悪い映像がストーリーよりもなにより饒舌であったような気がしました。ううむ。