本日のよろこびごと。(389)

日輪の遺産


誰望む みなが望まぬ 我も望まぬ(喜)
試写会でみた映画の感想を書くけども、はからずも辛口になっちゃうと思う。というのも映画を見ている最中に具合が悪くなって(たぶん軽い熱中症)、帰りの電車では息も絶え絶え、このまま車中で倒れて人生初救急車もありかもぐらいの体たらくだったので、映画に罪はありませんが。

2011年8月27日ロードショー、原作:浅田次郎、監督:佐々部清、出演:堺雅人中村獅童福士誠治ユースケ・サンタマリア八千草薫
第二次世界大戦末期、軍の密命を受けた3人の軍人と、勤労動員として召集された20人の少女たちと引率教師の運命を、回想の形でつづった戦争映画

何だかなぁ…映画半ばで本筋があっけなく終わってしまい、後はエピローグが冗長に続く印象でした。
複雑な想いを喚起する筋立ても役者もイイ、泣ける演出は控えめだし、なににもまして女子生徒20名の表情が目にまばゆく(ひとり辛酸なめ子が含まれているのが常に気になったが(笑))、
「いざこいニミッツマッカーサー でてくーりゃ地獄へ逆落とーし♪」*1
という唱歌が見終わった後いつまでも耳に残る余韻もある。でもいまいち感情移入できないままだったのはなぜだろう?
少女たちの決意や葛藤といった一番核となる部分がぼかされているせいか、回想にこだわりすぎたせいか。八千草薫が孫たちに語り聞かせる現代のシーンが、少女たちの遺言や意志が過去〜現代〜未来へとつながれていくという希望の道を示すために必要なのはわかるのだが…いっそすっぱり切ってもしまって、3軍人らの後日談も端折り、少女と教師を中心に深くえぐったほうがよかった気がする。でもそーするとヘビーになりすぎて、メッセージも薄れちまうかしらん。ちまうわな。映画としての面白さよりメッセージ性のが大事だもんね、はい、納得しました。
ただなぁ、なんかハードルを全部蹴って完走したといわれたような、肝の部分をかっとばされた物足りなさは否めない。繰り返すようだけど役者が皆よかっただけに惜しい。特に赤鬼兵卒・中村獅童が出色。

*1:比島決戦の歌、作詞:西条八三