フレンチトーストを作ってみたが


3日目を迎えたフランスパン、ちょっと固くなってきたのでフレンチトーストにすることにした。レシピはクックパッドから、『一晩漬けたのを表面だけ焼いて後はオーブンに、中はプリプリ、外はカリカリ(要約)』に仕上がるというやつ。
で、
ちゃんと前日の夜に漬け込んでおいてっと、ふふっ、朝メシはフレンチトーストだ〜! おフランスな朝が待ちきれない感じ!!とわくわく迎えた朝食、さあ、できあがりましたぜ。見た目はすごくうまそうです。ナイフとフォークで切ると、おおっ、確かに中はプリプリ、外はカリカリ。
しかーし!
一口食べてすぐに悲しいことを思い出しちまいました。アタシはフレンチトーストってあんまり好きじゃないんだった…。
映画『クレーマー・クレーマー』でダスティン・ホフマンが息子のために不器用に作るなぞの朝食ではじめて知ったフレンチトースト。映画ではこの上なくまずそうであったが、父が子供のために必死に作る姿に感動し、きっとちゃんと作れたら子供好みのおいしい洋菓子ふうパンになるに違いない。
憧れを引きずったままその後作る機会も、口にすることもなく、確か10年後ぐらいに生まれて初めて作ってみたんだよね。そのときにもしも
「フレンチトースト、最高ー!」
と思っていたらその後も何度となく作って定番メニューにしていたに違いない。その覚えがないのは、つまりはそういうことなのだ。
思い起こせばミルクセーキも同じ末路を…。子供の頃に「お金持ちのお家ではそんなものを作るんだ」とホヨ〜っと感嘆し、後々ついに口にすることがかなったときも「ふーん、なるほどね」程度の感想で終わった。スーパーで『ホテルシェフのレシピ』などとキャッチを凝らした新製品を見かけると「きっとすごく美味いかも」と騙されてしまうホットケーキミックスも、1度作るとそれきり放置。いずれも基本的に卵とミルクの素材の味がくっきり残っているものたち。ああ、そういえばカステラも実はそーんなに好きでは…ううむ。
憧れた先輩と付き合ってしまったら苦い思い出に変わるように(ってそんな経験ないけどー)、憧れは憧れのままにしておけばよかったと思う、フレンチトースト。肝に銘じておこう。