SPドラマ『幸福のスープはいかが?』(後編)

  • あらすじ:味の秘密を請う哲也とメイランに哲也の父(塩見三省)は、昆布と椎茸を差し出し「調べて来い」。昆布の産地・利尻、椎茸の産地・大分の旅を通し、味を生み出すために父親が割いた努力を身をもって知った二人は、ようやくスープの作り方を教えてもらう。香港に戻ってメイランの親族を集め、讃岐うどんと魚旦粉を融合させた麺料理を振舞うと「慣れない味だ」と不評。しかしメイランの祖父は「慣れないが旨いよ。これはお前たち二人の味だ」と努力を認め、4年後、夫婦になった二人は香川で讃岐うどんの屋台をはじめていた。

うーん、ちょっと話をはしょりすぎ。
特に二人が利尻と大分を旅するくだりがね。利尻では昆布名人の老人を訪ね、「20年前に同じように昆布を探しにきた讃岐うどん屋がいた」と聞かされる。それってオヤジのこと? 大分では二人で山道を彷徨って夜になって遭難。椎茸探しは大変だってこと? そのはしょり方は、香港カンフー映画の修行の描写っぽい(ってわかるかな? 木に逆さにぶら下がって腹筋したり、水桶と老師を担いで山道を駆け上がったりする描写だけで、はい、こうして修行して強くなりました〜ってやつ)。
ラストも駆け足。試食会のあとは、香港料理店は閉店していたというワンショットであっさり4年後に飛び、二人の娘が生まれていて、香港のじいちゃんは遺影。じ、じいちゃーん(涙)。
しみじみ感動したりするヒマがないんです。
ところで前編で情けないだけだった哲也(成宮)が、期待通りニッポン男児の意地をみせてくれたのかというと、実はそれが相変わらず情けなかったんだよ〜。そればかりか、人に物を訪ねたり頼んだりする態度さえなっちょらん! 頑固親父の心を動かしたのは、ぜんぶメイラン(アニー)の真摯な態度なのでした。ああ、情けなっ。
さえないのは哲也だけでなくメイランも、日本にいる間も素敵な女性ではあるんだけれど前編でアタシを魅了したキラキラさがあまり見られず。でも後半香港に舞台を戻すと、フレームの中にはちゃんとキラキラしたメイランがおるやんか。なんでだー!?
哲也とメイランは、美味しいスープを作るには旨い昆布や椎茸を使いさえすればよいわけでなく調理する土地の水や空気や嗜好など不確定な要素も関係するということを学びます。ゆえに香川で美味しいスープを作る材料をそのまま香港に持っていっても簡単に評価されるわけでないと。同様に、香港のカラフルな色彩の中で現地スタッフによって写されたアニーという良質な素材をそのまま日本に持ってきても、そう簡単に生かしきれるものではないのかも。
いろいろと無理のある展開に苦笑しつつも、外国との合作ドラマは両国の感性の違いを無理して融合したチグハグさを楽しむという側面もある。外国で食べるピントのずれた日本食が面白いように、だからこのドラマもじゅうぶん面白かったです。