『警官の血』(2)


1日たったら落ち着いたな。
見てたときはすげー衝撃の連続だったけど。エロとかホモとかすごくてドキドキしちゃったよ。エロにときめいたっていうんじゃなくて、「こんなの放送して大丈夫なの?」という不安感で。最近は規制が厳しいからこんなに見てて泡食っちゃうようなエログロは見慣れてないでしょう。しかもキッペイがというか、とにかくキッペイが「おいおいここまでやっちゃっていいの??」ってほどにヤってくれて、俳優としてこんな濃い色がついてしまってこれから大丈夫なの?とか。
あ、いろいろと蘇ってきた。とりあえず3部作を順番に振り返ってみようか。

  • 1代目安城清二(江口洋介)、妻(木村佳乃):終戦後、生活のために警官職に就く正義感の強い男。指名手配犯逮捕で警視総監賞を受け、念願の駐在勤務を配す。警察学校の同期で公安の早瀬勇三(椎名桔平)は、当時上野周辺で発生した連続美少年殺人事件の犯人でもあった。そのことに感づいた谷中五重塔放火消失の夜、早瀬に首骨を折られ跨線橋から突き落とされ殺害される。当時の捜査では、火事に責任を感じ自殺したものとされた。

正義感の強いまっとうな男に江口という配役に意外性がないが、優れた演出と役者の気合が重なると、今まで見たことのない表情を見せることがある。何度も見たことのない江口を見つけて、ハッとさせられた。これは江口に限らず他の役者さんも同様で、闘魂の芝居がふんだんにあって作品に厚みと説得力を与えていたように思う。いい題材を与えられると役者は己の引き出し以上のものを引き出されるんだよねという見本のような作品。さすが「相棒」のテレビ朝日、やるなー。
テレビドラマの枠の中で、戦後の胡散臭さい時代の熱さをとことん表現してたのもえらい。特に情婦が指名手配犯の元へ駆け込むあたりの描写は秀逸。ようよう男のもとへたどり着いた情婦は、男との久しぶりの逢瀬に一瞬をも惜しむように下着を取り払って、相手の身体にむしゃぶりつく。まさにオスとメスの、けだもの。乗り込んできた警官を止めようとする情婦の抵抗もすさまじく、なんど払われてもかじりつき、手錠で柱に拘束されてすら男を助けようと窓辺の鉢を蹴倒して暴れまくる。戦後の泥臭さもでてた。
結構暗いシーンが多い中で数少ないほのぼのは、駐在所赴任直後、住居の広さに家族(木村・子供たち)がなんどもドアを開けたり閉めたりしてはしゃぎまわるところ。つかの間の幸せ、この後この一家はキッペイのせいで孫子の代までボロボロにされるのだ。ううっ。
キッペイは鬼畜だったねー。その彼が江口を絞め殺すときの手が、一瞬優しく愛撫しようとしているようにも見えたのは気のせいかしら。己が失ったまっすぐな気性を持ち、幸せな家庭を築いている男に嫉妬を感じていたのは間違いのないところ。その裏で、同時に自分にないものに対する歪んだ愛情を感じてもいたのだろうか。ホモセクシャル(という設定)ならばありなんだけど、その後の子孫への仕打ちを考えるとウーン、気のせいかな。わからん。
最初にキッペイに殺される男娼ミドリ(若葉竜也)は、女からみてもエロスがスゲー。特にあの後ろ足はヤバイ。キッペイとの絡みは耽美で満足。天狼星の吉沢胡蝶*1もかくやって感じ。
安城清二編は雰囲気が良く、展開も速い。一瞬も見逃せない面白さでした。

*1:栗本薫の伊集院大介シリーズの登場人物で耽美な女形