母の日のカーネーション


母の日にはカーネーション、ということになっているが、花としてみるとアタシはそんなに好きじゃない。虫のつきにくそうなしっかりした葉には可愛らしさがないし、もっさりした花の質感もどうだかなと思う。が、それよりなによりやっぱ、色。なんでカーネーションにはイイ色、素敵な色というのがないんだろう。ピンク、紫、オレンジ、レモンイエロー、2色もの…5月になればどかーんと売れるので品種改良はさかん。ゆえに種類は豊富なのに、どれもいまひとつうさんくさい、あかぬけない、透明感がない。同じように色バリエーションの豊富なビオラ、パンジー、チューリップ、バラなんかは派手な色でもかわいらしさ(あるいは気品)を感じさせるというに、カーネーションからはどんくささを感じてしまう。絵の具の水を吸わせたようなウソっぽさは、一時代前の白黒に後から色をつけた写真を連想させる。母の日にはもっといい花があるんじゃないかなぁとつねづね。
GWに実家に帰ったときにミニバラの鉢植えを持参したので母が、
「もう(来週の母の日に)カーネーションはいらないからね。今だけ高くなるし、バカらしいから送(贈)らないでいいよ」
その場は「あー、そうだねえ」と生返事しておいた。だからといって「はいそうですか」ってのも気がさして、ネット通販でちょっくら花束を贈っておいた。送料込みとはいえ3000円とは、腑に落ちない。ま、それはいいとして、さきほど母から電話があり、
「届いたよー。やっぱり母の日にカーネーションがないのはさまにならないね。ありがとー。玄関に飾ったよ」
とお喜びの言葉を。なーんだ、贈ってよかったんじゃん。
やっぱりカーネーションは好きじゃないが、その存在価値は認めねばなるまい。