ハム、うま〜


今までハムってウマいと思ったことなかったのですよ。ちゃんとしたレストラン、イタリアとかスペインの専門店で食べるハムってのはありゃウマイです。でもアレは別物。メロンの上にのっているやや塩気のきいた透明な生ハムも、今ここでアタシが言及しているハムとはちょっと異なものと解釈します。ここでいうハムのうちには入れません。要するに何かっていうと、つまりスーパーなんかで売っている丸くて薄く切ってあるやつのことです。
妙にモチっとしてたり、水っぽかったり、かと思えば乾いていたり、あるいはちょっとクスリっぽいような味?とかするときもある。そのくせ見た目はいつだって妙にきれいな色をしてる。ハムは昔からわりかし安い食材だったので、子供の頃によくサラダの上やハムエッグになってよく食卓に登場していましたが、そのときアタシはいつも「ツナのがいいのに」とか「ベーコンのがうまいのに」とか内心「のにのに」文句をたれてました。いや、口に出してたか。そんなアタシが今日ははじめてハムって美味しいじゃん!と思ったのです。
昼メシがもたれたので晩飯は軽くすませたいな。ならば朝のフランスパンが半分残っている、アレになんかはさんで食うか。そのときふっと脳裏と舌によみがえってきたのが、20年ほど前にバンクーバーのマーケットで食ったサンドウィッチなのでした。目の前で作ってくれてマーケット内のベンチで食べるようなところ。まずブレッドを数種類から選ぶ。今でこそそーいうオプションは日本でも珍しくなくなったけどその頃は珍しく、これだけでも感動もん。メインをツナ、卵、サーモン、チキン、ハムなどの中から一つに決めて、あとは20種類以上の野菜を次々に指差して(英語でなんていうかわからないのでね)。メインが記憶にないのだけれども、いまだに覚えているのが山盛りのスプラウト。「なんかカラダによさそー」な、ふんわりとしたスプラウトを「おいおい、そんなに載せたらもう挟めないのでは?」と驚くほどに大盤振る舞いしてくれて、それを最後に上からパンでぎゅーっとつぶして「OK?」と微笑むカナディアン。そのあまりの気前のよさにめまいがしたもんです。で、そのサンドウィッチは確かにスプラウトがしゃきっとしててすんごくうまかった。これがふっとよみがえってきて、そしたらなぜか「じゃあハムだな」って着想が。こういうひらめきは大切に拾いましょう。
好んで食べないハムはほとんど買うこともなく、したがってスーパーでもハムコーナーをじっくりと観たこともない。あらためてみてみると実に多種多様で、ピンきりで。やはりちょっとお高めのハムは、みるからに違うのね。ハムに透明感があってなんともうまそぉ…。こらえきれずに奮発してみました。うっすーいのが1枚100円換算って、かなりお高くないっすか? ほんでもってスプラウトも忘れずに、と。
フランスパンを温めカットしてバター塗って、きゅうり薄切り、マヨネーズ、ハム、塩、こしょう、マヨネーズ、そしてスプラウトをこんもり♪ おお、イメージどおりだー! こうして作った自家製サンドウィッチは想像通りのウマさで、それはもう、長年のハム感を変えるほどに。休日のサンドウィッチに、奮発して高いハムを買ってみる。これオススメします。で、マスタードを買い忘れないで。今日もそれがあれば完璧だったのだ。