ミニバラ愛情物語


2週間ほど前にさかのぼる。部屋の雰囲気に合わないわと継子扱いをしていたミニバラの葉に異変の兆候が顕れていた。複数の葉の表面が白く粉をふいたようになっている。もしや病気? そう、バラ定番の「うどんこ病」なのであった。
どんなに可愛くなくても、長い間生活をともにしている(?)とそれなりに愛着がわいてくるもの。アタシの中に「こんなことで死なせてはいけない!」という思いがこみあげてきた。こいつが家にやってきてからついた蕾がようやくふくらみかけたとこなのよ。これを生かさんでどうする!
休日を待ち(待つなよ!)ケーヨーD2へ赴いた。植物の薬剤の巨大な棚を前にして、すくむアタシ。「どれだよ…」。ケーヨーD2、品揃えの豊富さはうれしいが、うーむよすぎるのだ。でも大丈夫、商品をひとつひとつチェックしてみるとちゃーんとアホな子にもわかるように効能書きがわかりやすく書いてあるじゃないか。ま、じゃなきゃ売れないので当たり前の話だけども。
「えーと、『バラなどのうどん粉病に』おお、これだぁ!」
と見つけたのは900円。バラより高いってのはないんじゃないの…。アタシこんなにたくさんいらないので、ちょっとだけ量り売りしてくれません? ケーヨーD2、材木の量り売りはやっているが、ビンの中身の量り売りはしておりません。
「ふんっ、こんな薬なんか使わないでも治してやるわっ、見てなさい、ロレンツォのオイルよっ!」
と鼻息荒くケーヨーD2を後にしたよ。手ぶらで。
説明しよう。ロレンツォのオイルとは、その昔、副腎白質ジストロフィーに冒された一人息子を救うため医学にまったく素人の両親がついにひとつのオイルをみつけ、医者に見放された息子を救ったという映画にもなった実話のオイルである。
で、アタシはミニバラのオイルをみつけるべく医学書の代わりにネットを検索しまくった(しまくったってほどじゃねーが)。そして見出したのだ、ロレンツォの酢を!
アタシの献身的な看護がはじまった。

  1. かなり症状のひどい葉っぱとその周辺で触れていた部分などを切り捨てる。少しくりくりしてしまったが、死ぬよりはマシさっ。バラは思い切りよく切ってやったほうが元気に育つというし、それで死んでしまう場合もあるが…。
  2. 50%の酢水をつけたガーゼで白い部分をふき取る。ついでに白くない部分もふいてやる(これを日を置いてもう一度やった)
  3. 日当たりと風通しの良い場所の提供。なるべく長い時間日に当たれるようにと、できるだけ太陽を追いかけて場所を移動させる。

マザーテレサ的献身の甲斐あって、うどん粉病は収束したようにみえる。そしてふくらみだしていた蕾、3つのうち1つはガクの間から白い花びらをちらりとのぞかせ「もうすぐだ〜」と母(アタシです)を喜ばしている。こうしてアタシとミニバラは本当の愛情で結ばれたのでした。どうだ、感動的だろう。