仕事納めと増上寺


今日はお仕事の最終出社日だった。

  • むなしいので

引継ぎはとっくに終わり、というか「こんなに簡単に引き継げちゃうようなコトしかアタシはここでしてなかったんだなあ」とむなしくなったりして、最後の1週間は「窓際族か?」的に机に座って端末をみて何かをしているフリをするしかなく、時間のたつのが遅かった。周囲が働いている中でなにもすることがない状態ってやつがどんなに人を精神的に殺すかひしひしと実感。ホントに、つらい。だから、もう最後だしちょっとぐらいいいよねと、バックれて近場を散歩することにする。

そーいえば歩いていけるとこに増上寺があるのにまだ行ったことはなかったな…。毎日通っている場所、いつでもいけるという思いから結局いつまでも行かないというのはよくあること。でもここに来るのも最後だしせっかくだから行く。
ビルをでて裏通りを抜けると、ごみごみっとしたビル街から急に巨大な緑に囲まれた公園が姿を現す。細長い道なりの公園が増上寺と平行して続いてる。木がでかい。緑の回廊を通り抜け門のあたりで大通りへ出ると、信号の向こうに赤い大きな門構えが見えた。これが増上寺か〜。

  • 境内

門(三門)は想像以上に立派。三門をくぐり境内に入る。おお、かなりいい感じだ。気が遠くなるほど広いわけじゃないが、それなりに広い。いきなり空気感がちがう。普通のお寺とかでもそうだが、増上寺はさらにすごい。なにしろ本堂は東京タワーを借景にしているのだ。悪趣味なようでもあり、ハリウッドの捏造したジャポネスク的映像のよう。でも本物だからThat's Tokyo。
本堂へ続く石畳の中央に灯明が並べられている。そこには妙にそぐわないネコのイラストと、「東京の中心で南無阿弥陀仏を叫ぶ」とかいうような文字。「ほおおっ」、うける。正確な文言はちょっと違ったかもしれんが、宗教にしてこーいう緩さは余裕の様で好ましい。暗くなったころに訪れたなら、ライトアップされた東京タワーと増上寺の灯明でさらにThat's Tokyoに違いない。そいえば境内には外人が居るわな。

  • 本堂

入り口の扉は1箇所をのぞいて閉ざされている。「もう終わりなのかな?」。が、そうではなかった。たった一つの入り口から薄暗い本堂に入る。ほお、やはりなかなか広い。香が漂い、本尊の前で6名ほどの僧侶が読経をあげている。薄暗い堂内の椅子に座り、神々しい仏像に対峙したり、高い天井をみあげたりしながら、坊さんたちの浪々とした経に包まれていると、キュンとくる。この感覚はなんだろうね。やっぱり宗教ってすごいと思う。無信心だけれど。

  • ふたたび会社

気分転換して会社に戻り、最後の挨拶をひとりひとりと交わす(といっても連休前なので既に休みに入っている人たちも多い)。机を片付け、机の中の忘れ物を点検し、端末のスイッチを切り、すべての荷物を持ってオフィスの扉を出たとき、心の中で小さく「万歳」をして2度と足を踏み入れることでないであろう場所を後にした。約2年という短い期間とはいえ、習慣がなくなるというのは寂しい。しかし開放感はそれに勝った。

改めて増上寺のHPhttp://www.zojoji.or.jp/を見ると奥深く、見逃したポイントが多くて損した気分。地元のガイドブックなんて買おうと思わないから、観光客のほうが東京のいろいろな名所旧跡をよく知っているのじゃないだろうか。地図を片手に都内を歩くと、東京って意外と懐が深くてなぞめいていることがわかる。緑も多いし「えっ」と驚くような歴史的建築物にぶつかったりする。増上寺もそんなひとつ。もっとも増上寺は有名すぎて発見の楽しさはないけれど。ガイドブックを買うのはくやしいのでHPをプリントアウトしてもって行くべきです。と、おすすめしておく。