生搾りグレープフルーツジュース


八百屋のタイムセール、兄ちゃんが箱だし作業をしながら「グレープフルーツがなんと4個98円!」と叫んでいる。しかし客は寄り付かない。安すぎて警戒しているのか、がっつくのは下品だと思うのか。店が閑古鳥というわけではない。そこは全体的に安く鮮度もいいのでそこそこいつも繁盛している。そのときもわさわさと客はおり、ナスやキュウリやブドウなんかをそれぞれ物色して籠に放り込んでいる。しかし、なぜ反応しないのか。微妙な空気。アタシはおそるおそる近寄り、箱だし兄ちゃんの目をかいくぐるようにして1つ手に取る。アタシが最初の客であり、次に続く客は…いない。せっかく先鞭をきってあげたのに、いったいなぜなんだ。ううむ。
さてそんなふうに怪しい買い方をしたグレープフルーツだが、実はフルーツとして食うのがめんどくさくてあまり好きではなかったりする。そこで100円ショップでグレープフルーツ絞りを入手し、ジュースにすることにした。まさに搾りたて&まさしく搾っただけ。それでも、当たり前だが、


「うまいっ!」

冷蔵庫には100%グレープフルーツジュース(たぶん濃縮還元)を常備し、毎朝それを飲んでしゃっきりするのが習慣なのだが、パッケージに「生絞り感覚」と謳っていてもその違いは明らか。「まるでニースのホテルで出されるジュースのようだわ〜、うふふー」などと悦に入る。ニースのジュースがどんななのかは知らないが、ともかく本物の生は、果肉たっぷりのわりに飲みやすく、あっさりとしていて飲んだあと喉に甘さがからまない。1個でコップ一杯。この手軽な贅沢に、しばらくはまりそう。