『ボビー・フィッシャーを探して』

あのボビー・フィッシャーが実は日本の入国管理局に拘束されていた!などというニュースをみたのは2ヶ月ほど前。それで検索して、俄然興味がわいたのがこの映画でした。といってもボビーを世界中探しまわるドキュメンタリータッチでも冒険活劇でもなく、第二のボビーを見出そうとやっきになる大人たちと、僕はボビーじゃなくて僕は僕なのに…とかたや冷静な子供たちのお話なのですね。
天才ガキンチョたちの交流、舞い上がる親と冷静に見守る親、対立する正統派と邪道の2大師匠など、それぞれのドラマ配分がとてもよく、奇をてらわぬ良作に仕上がっていると思います。あるいは見る人によっては「そのどれもが中途半端だし、予想通りの展開からはみ出すことがなくておもしろみに欠ける」と思われるかもしれませんが。
チェス競技会の様子とか、子供大会でもあんなに立派な会場でやるんだねーとか、天才は天才を知るということは子供の世界でも同じとか、棋士の世界などと比較してみても面白いんじゃないかな。棋士の世界だってそれほど知っちゃおらないならば、それはそれで余計に新鮮。天才ボビー・フィッシャーがどうして失踪したのかについての判じ物にもなっております。
ところで主人公のジョシュ・ウェイツキンってのは実在の天才プレイヤーなのでしょうか? ラストに彼の現在がテロップされたのでどうもそれくさい。もしも実在ならばあれから12年後の今の彼はどうしているんでしょう。それが知りたいですね。
見て損はない手堅い良作だと思います。