元祖くじら屋


YさんとKさんとアタシの3人で社長のおごりでくじらを食いに渋谷の元祖くじら屋を訪問。東急文化村へ行くとき前を通っていたので存在を知ってはいたが入るのはこれが初めて。古くて暗い店という印象は、いつのまにやら高級そうな店構えに改装されていた。2階へ案内されて靴を脱いで掘りごたつ式お座敷へ通される。
おのおの飲み物を頼んでからメニューに没頭。道々、「くじらベーコンは絶対よね」「あと竜田揚げも!」とそれだけは決めていたが、くじら屋経験者がKさんしかおらずメニューをみて総おのぼりさん状態に。「コースにしたほうがよいのかな」「おお、はりはり鍋だって」「げいじすかんってのもあるよ。くじら肉をジンギスカン鍋で焼くんだって」「へぇ〜」。こういうときに社長がどーんと「このコースを取れば?」とイニシアティブをとってくれりゃいいが、財布は出してもさしたる主張のない若社長なので「僕は〜、竜田揚げがあればいいからぁ・・・」などのみのたまいける。しかたないので、とかいいつつ嬉々として女三人がよくわからず適当に注文することにしたのであった。わからずとも、おごりなので遠慮はしない。

  • くじらベーコン:ぺらぺらのこんにゃくみたいな四角いベーコンが7枚ほどちんまりと。「なんだこりゃ。少な〜」「くじらベーコンってもっと大胆でいろんな形してたりしてたよね」「はしっこが赤くて、茶色い肉がついていたりして」「そうそう」で、食ってみるが「たよりない〜」「なんか違う〜」。子どもの頃に父親の酒のつまみを奪って食べたあのぎとぎとした舌に残る感じを期待していたので肩透かし。
  • くじらからあげ:竜田揚げはないというので、からあげに。これも薄い肉が上品にもられてていて、「なんか軟らすぎて違うね」
  • くじら串かつ:「豚とあんまり…」「変わらないねえ」「うーん」・・・。でもよくよく味わうとなんか「後味がちょっと『海のもの?』って感じ」
  • くじら刺身:さえずり(舌)、心臓、皮の刺身を注文。舌は白くて弾力があって脂っこい。「こっちのが昔のベーコンに近いわ」。皮は白くて薄くてさっぱりとしているのをきゅうりと一緒にいただくが「きゅうりの味しかしない」と一致。きゅうりをはずして食す。心臓は赤くて毒々しい「弾力があって脂っこいマグロの赤身みたい」
  • サラダ2種:はりはりサラダと8種類の野菜サラダ。「くじらを食べに来てなんでそんなに野菜ばっかりとるの!?」とハンサムウーマンYさんに怒られるアタシ。「だって野菜好きなんだもん…」
  • はりはり鍋:具は片栗をつけて下ゆでした黒っぽいくじらの赤身、水菜、しいたけ、にんじんなど。このくじらが「一番、昔の味に近いかも」。お店の人が「1〜2分で食べられますよ」といった肉をいれっぱなしにしておいたら硬くなってしまい「なんだか・・・」「ねぇ」「正直に言うと、お鍋は豚や鶏のがうまいと思う」「そうね」。

あとは飲み物を適当に頼んで、会計でびっくり。4人で4万円ちかいのでした。くじらって高〜! しかしどんな貴重品だろうがアタシらにとってはくじらってのは郷愁でしかないようで、なにを食べても「給食(あるいは父親のつまみぐい)で食べた味かどうか」に終始して「給食の味と違うね」か「同じだね」にしかならぬ。それにそんなに高級な値段をつけるほど高尚な食材とも思えんし。社長、ごちそうさまでした。でもアタシ、もうくじらはイイです。