NHK大河ドラマ『義経』第3回

オーソドックスな作りで手堅く面白かったっす。大河は重厚さと軽さの比重があまり偏りすぎないほうがよいなあと思う保守的なアタシであります。平幹と稲盛が秀逸。

平幹はすごいね。後白河法皇の腹百物ぶりを下卑すぎず鮮やかに演じ、映るだけで画が締まる。当たり前だが、名優だねぇ。宿敵平清盛(渡哲也)との毒を含んだ対峙シーンには見てるこちらも力が入りました。渡さんの声にハリ艶がないのはマイナスだが烏帽子の似合う相貌で救われておる。お顔の皺の刻み方が綺麗なのだよね。清盛随行の重盛(勝村政信)も場を乱さずにそれでいて存在感もあり、この人って重々しい演技もできるんだねと見直しました。
見直したといえば、常盤御前の稲盛いずみこそだな。民放のドラマではその不幸そうな面構えが辛気臭いのでいまいちアタシは評価しておりませなんだが、なーんと悲劇のヒロイン常盤にぴたりとはまっておるのです。着物もヅラも似合います。はじめて、おっ稲盛って巧いじゃんと思いました。稲盛いずみと桜井幸子は平成の2大薄幸女優ですね。
そもそも義経がらみの話はマンガや小説のモチーフとなることが多いので話は馴染み深い。愛憎、悲劇てんこ盛りで、美貌で薄幸で逸話も多い義経を主人公とした大河ドラマはおもしろくならなきゃおかしいよ。よし、2005年は久しぶりに大河視聴習慣を復活させるかと去年の暮れにいったん思ったものである。が、気がついたら1回目の放送が終わっていたお間抜けなアタシ。おいてけぼりをくらった気になり「へっ、もういいや。めんどくせー」などとふてて放置してしまうのであった。ところが2回目までの放送が終了して伝わってきた評判がなかなかによいようなので惜しくなった。評判どおりにかつての大河全盛期を彷彿とさせる作品であるのならば、かつての大河ファンとしてやはり見ずばなるまいて。で、昨日はオープニングからチェックしちゃるぜと8時前にテレビの前にスタンバり、なるほどこれは確かに見る価値があるわいなと判断したのでありました。あーあ、1、2話もみときゃよかった。
オープニングの白馬の疾走にはちと鼻白むが、能狂言がでてくると重厚な感じがして嬉しくなった。第三回『源氏の御曹司』、そのメインイベントは義経鞍馬山へ、母子の離別、義経己の出自を知る、などか。子役として出演の神木君の出演は今回で、ラストに滝つぼに飛び込んだ牛若が水からあがると凛々しい若武者(滝沢)にバトンタッチ。入れ替わりの演出はまあ普通だが、文字通り水のしたたる美形な風情がよく撮れておりました。甘いマスクと鍛えたカラダ。ぜんぜん興味のないタッキーにちとドキリしちゃいましたです、はい。あー、若いっていいなあ。
さて来週はいよいよ五条大橋のシーンかな? だといいな。大河ってのは史実を予習復習しながら見るとなお愉しい。準備おこたりなく、来週を待つでおじゃる。
そうそう、瞬間移動する三輪様は怪しすぎ、あの演出は興ざめです。