悪しき兆候


時計が止まった。黒猫が横切るとか、霊柩車を見かけるとか、世の中いろいろと悪いとされる兆候はあるが今日のアタシに起こったこともそうした悪い兆候のひとつであろう。たまたま今日と言う日は、友人に唆されて、もとい勧められて自分にあらざるほどちょいと大きな金銭的なやりとりをしたばかり。なのに何故よりにもよってこんなことが!? ひー。
アタシはただいま非常にどきどきしております。どきどきしているのに背中が寒いという…ひゅーるりー。
止まった腕時計は高校入学のときに亡き祖母に買ってもらったものである。20ウン年ものである。友達には「うわ、とっても懐かしい気がする」と言われてしまうような代物である。国産である。当時3万円ぐらいであった。しかーし、これまでほとんど狂うことなく動いていて、ほとんど肌身離さずつきあってきたこいつにアタシが寄せる信頼感は並大抵のものじゃない。なのに、なぜ、なにゆえ、よりによって、今日、止まるんだっての!? いままで電池切れで動かなくなることはあったが、それとはどうも動き方(いや、止まり方か)が違う。電池は余命を削って秒針を動かそうと奮闘しておるようなのだが、秒針がぴくぴく微動しつつもなにかに引っかかったように12時25分27秒あたりで動かない。うーむ、激しくイヤぁな感じである。