エンゼルトランペット


R嬢からエンゼルトランペットの鉢植えを「里親になってくれ」と渡された。3つついたつぼみからは3日以内に大きな白い花が咲くことだろう。楽しみである。しかしこのエンゼルトランペット、その可憐な花や名前からは想像ができないようなダミアン的なやつなのであった。葉からはほのかにピーナッツバターの香りを漂わせているくせに、「触った手でそのまま料理とかしないほうがいいよ」。全体が毒性を持っている。ひとつの花が実を結びはじめると周囲の栄養を全て根こそぎ吸い取って、他のまだ花を見ぬ蕾たちがどんどん落ちてしまう。実を実らせて己を増やすという欲望が強くその実の成長が恐ろしく早い。そして見た目がとても禍々しいそうである。すべてR嬢の受け売りだが。それを聞いてなるほどと思ったことがある。ヨハネ黙示録では、最後の審判の日に使途が高らかにラッパを吹き鳴らし、神の御印を与えられていない人間たちへ災疫を与え、滅びへと導く。あれに相違ない。果たして帰宅して英語版聖書を見ると、使途のラッパはエンゼルのトランペットと綴られていた。滅びの笛をありがとう、R嬢…。