セミ


お盆なのでちょいと親元へ里帰り。田舎というほどの田舎でなく、でも都会ではない新興住宅地。東京へ1時間以内の通勤圏だが、新興はいつまでたっても成熟することなく畑や森が点在し(自然が豊かとはいえるが)、風向きによっては駅のホームで牛の堆肥のにおいをかぐこともある。そんな小田舎。
でも都会よりはいいわ、車の音が少ないもん。と思ったら、車よりもやっかいなものがありました。
それはセミ
セミはうるさいばかりか、かなりこわい。昼間、日陰を縫ってアイスなど買出しに行く。日陰というのはだいたい木陰、木陰すなわちセミのテリトリー直下。木の根元にはセミの幼虫が土中からはいあがってきたおびただしい穴。すげーなと見ていると、セミがいきなり低空飛行で体当たりをかましてくる。とっさに日傘でよける。よけそこなうと「ひー!」。かなりでかい。びびります。
母曰く、
「そこの木に子供たちが蝉取りに来てたんだけど、10センチおきにセミがいるので最初は嬉しがって捕っていたけど、簡単に捕れすぎるのですぐに飽きて行っちゃったわ」
子供が飽きるほどのセミ量…。
さらに夜。窓や網戸に体当たりをかましてくる。テレビをみたり、本を読んだり、風呂上りにうちわを仰いでくつろいでいると、不意にドガッ、「ひいっ」。このときアタシ脳裏には、ミクロイドS(手塚治虫氏の名作漫画)。昆虫が人間に戦争を仕掛けるお話です。こわいのよー。
そして当然うるさい。だってセミのお仕事はうるさくすること。地上生命7日という限られた時間の間にいかにうるさくするかがヤツラの使命。おかげで暑いのにセミの騒音で窓を開けて寝られない。
都会は車の音がうるさい、そして田舎にも田舎のうるささがあるのですね。